ご承知の通り、中国では、第三者が海外のブランドなどと同一類似のものを商標出願・登録するケースが見受けられます。
特許や意匠といった創作物とは異なり、商標は選択物なので、たまたま他人のブランドと同じものを選択した結果かもしれません。
しかし、中には悪意を持って、他人のブランドなどを先取りして商標登録しているケースもあります。
特に商標ブローカーにより、使用する意思がない商標を他人に先駆けて大量に出願・登録することが問題となっていたため、2019年の法改正にて、使用する意思がないにも関わらず大量の出願や登録を行う行為は、異議理由や無効理由となることが明文化されました。
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私共でも、中国における第三者先取り商標への対応をよく行いますが、その際、当該第三者商標が悪意に基づくものであるか否かの判断材料の一つとして、商標の売買サイトを確認することがあります。
例えば次のようなサイトを確認します。
こうしたサイトに、第三者商標の出願人/権利者が大量に出展していれば、その事実は、商標を使用する意思がないことを証明することに役立ちます。
私自身は、どの程度の金額で商標が売買されているか等にも興味があり、定期的にこうしたサイトを確認しています。
商標によって価格は異なりますが、例えば、化粧品や日常衛生用品の分野の商標は、1商標あたり20万円前後、薬剤や食品分野の商標は、人気があるのか更に高額なものが多く見受けられます。
また、本気で売るつもりとは思えないような高額金額(100万元!)が設定されているもの、そもそも需要があるのかと思われる個性的な図形商標、ひょっとしておかしな意味が生じるのでは?と心配してしまう漢字商標など、見ていて飽きません。
しかし、かなりの数の商標がサイト登録されていることから、活発に商標の売買が行われていることが推量できます。
なお、商標権は知的財産権の一つであり、その名が示す通り財産ですので、権利者はそれを自由に処分することが可能です。そのため、商標の売買を行うことは自体は問題ありません。
2019年の一年間に、中国では約780万件の商標が出願され、約600万件が登録されており、その中には投資目的での出願・登録されたものも多数含まれていることが推量されます。
悪意による出願・登録には対抗できる余地はありますが、多大な労力やコストが必要です。
中国でご使用予定の商標がありましたら、やはり少しでも早めに出願・登録されることをお勧めします。