知財ミックス戦略とは、ある製品やサービスを複数の種類の知的財産権(特に産業財産権である特許権、実用新案権、意匠権、商標権等)で多面的に保護する戦略のことを指します。ここでは、スマートフォンを例に挙げて説明します。
スマートフォンには、様々な知的財産権が関与しています。例えば、下図に示すように、通信技術に関する発明は特許権で、携帯性の向上に係る考案は実用新案権(特許権でも保護可能)で、製品の全体デザインは意匠権で、製品に付されるマークやネーミングなどは商標権で保護することができます。
(出典:特許庁ウェブサイト)
上記のスマートフォンの場合、技術開発とともに、デザイン開発やブランド戦略についても立案されるのが通常です。例えば、その特定の技術内容に着目して特許権を取得しただけでは、そのデザインの盗用や、著名となったネーミングの第三者の使用に対し、何ら対処することはできません。
保護対象が異なる複数の知的財産権によって、製品などを多面的に保護する戦略を講じることが重要となるのです。
また、知財ミックス戦略によって、それぞれの知的財産権を有機的に関連付けることによって、各権利の単独和を超える相乗効果を生じさせる場合があると報告されています[1]。例えば、ある製品に対して商標権を単独で取得する場合に対して、商標権と特許権を併せて取得する場合、技術力に裏付けされた一層強いブランド力を構築することが可能となることがあります。
上記においては身近なスマートフォンを例示して説明しましたが、知財ミックス戦略は、もっと一般的な日用品やサービスなどでも重要であると考えます。
鎌田特許事務所では、特許、実用新案、意匠、及び、商標に精通した弁理士が互いに連携を取りながら、それぞれのお客様に最適な知財ミックス戦略をご提案させて頂きます。お気軽にご相談ください。
<参考文献>
[1]乾智彦、知財ミックス戦略及び知財権ミックス戦略の本質的効果、パテント、pp.96-104, Vol.69, No.6, 2016.